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  2019年02月20日    

お姫様ダイビングに甘えてトラブル続出/安全潜水

水中で起こりうるさまざまなトラブルを、体験談形式のケーススタディで紹介。PADIコースディレクターが潜水トラブルの原因、対策法をアドバイスします。安全潜水を考えるきっかけに、また潜水事故を防ぐためにお役立てください。


ダイビング歴1年のWさん(10 本/女性)。初めてのファンダイビングでお姫様ダイブ……すべておまかせで潜ったところ、さまざまなトラブルに見舞われた体験をご紹介します。

お姫様ダイビングに甘えてトラブル続出

1年前に沖縄でCカードを取得した私は、今年の春、講習後初めての海外旅行で、セブ島へ潜りに行きました。これはそのときに体験したトラブルです。
ともにダイバーデビューした友人と、初めての海外ダイビングにワクワクしながら、到着翌日からさっそく海へ。まだ何の器材も持っていなかったので、スーツも含めてフルレンタルでお願いしました。そうして乗り込んだ船上には、すべての器材がセッティングされていて、聞けばフィリピンでは器材運びやセッティング、エントリー&エグジット、タンク交換まですべてスタッフがサポートしてくれる「殿様&お姫様ダイビング」が当たり前のスタイルとか。講習から半年のブランクもあり、慣れない不安もあった私たちは安心しきって、準備をすべておまかせしていました。

ウエイト量もスタッフまかせでエントリー直後に急降下

そうしてのんびりくつろぎながらボートが出航し、20 分ほどで1本目のポイントへ。この日は私たち2人のほかに、シニアゲスト2名といっしょのグループです。ガイドは現地のフィリピン人でブリーフィングは英語だったので、内容が理解できずにいると、シニアゲストのFさんが簡単に訳してくれて、なんとなく把握。そのままボート縁に座って器材を背負わせてもらい、ドキドキしながらENします。
ところが、水中に入った私は水面に浮上しないまま、体の重さに引っ張られてどんどんと急潜降していきました。体勢も不安定なまま耳抜きもできず、ジタバタしながら急降下。水深5mの棚上にズドンと着地しますが、耳の痛さで頭が割れそうです。私は事前にウエイト量を聞かれたのですが、自分では適正量がわからず、おまかせしたスタッフの推測が重すぎたのかもしれません。とにかく私は激痛にもだえながら、必死で耳抜きを試みますが、いっこうに抜ける気配はありません。後から潜降してきたガイドが私の異常に気付き、「耳が痛い」と合図を出すとサポートしてくれながらいっしょに浮上してくれます。そこからふたたび耳抜きをしながら、ゆっくり再潜降。みんなを待たせて申し訳ない気持ちでしたが、なんとか耳抜きもクリアできたので、そのままガイドについて泳ぎ始めました。
とはいえ、耳の痛みと頭痛が治まらないまま、不安を感じながら進みます。ドロップオフ沿いに水深を下げていきましたが、私はみんなよりも身体がどんどん沈み、BCに給気して水深を上げようとしてもなかなか中性浮力を取れず、恐怖が膨らむばかり。そんな状況で呼吸もだんだん苦しくなり、「このレギュレーターもなんかおかしい」「レンタル器材、壊れているんじゃ?」と悪い妄想まで膨らんできてしまいます。
そんななか、耳抜き不良からか、ふっと視界が回るようなめまいが感じられ、頭のなかはますます混乱するばかり。心臓の鼓動も呼吸も速くなるのを感じて「もう怖い!」と、恐怖に耐えきれなくなった私は、突然パニック状態となり、水面に上がりたくなってしまいました。気づいたときにはBCの給気ボタンを押し続け、一人で水面に向かって急浮上していました。

耳と頭の激痛とめまいで急浮上。報告しようにも意思疎通もできず

そんなとき、ガイドがまた私の異常に気づき、私に駆け寄ってくれました。私は思いっきり手を左右に振りながら「もう無理!」と訴えると、「OK、戻ろう」とサインを出します。そして、他のメンバーを呼び、手を引かれるままブイまで戻り、私は安全停止もせずに真っ先にEX。なんとか無事に終えることができました。
その後、事態を説明しようにも英語で伝えられず、スタッフも何も聞いてきません。しかし、シニアダイバーのFさんが心配してくれて状況を話すと、スタッフに伝言してくれて、ウエイトと器材の交換をしてもらいました。耳の痛みはまだ消えていませんでしたが、2本目はトラブルもなく終えることができました。それ以来潜っていませんが、自分で器材を扱える知識を持って、ダイビングを続けたいと思っています。

ダイビングは自己責任。セルフチェックは習慣化しましょう

オーバーウエイトで浮力コントロールができず、水底に墜落してしまった危機体験。殿様ダイビングは一見楽なように思えますが、水中に潜るのはあなた自身です。器材セッティングやウエイト量の確認などは、自己責任で行う習慣をつけましょう。日頃からどのタイプの器材ならどれくらいのウエイトが必要なのか、きちんと把握しておくことも大切です。水中でオーバーウエイトに気づいた場合は、BCDに吸気をすることで浮力をコントロールしましょう。

コメント=我妻 亨( PADIコースディレクター)

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カテゴリ: ダイビング


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