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  2018年12月20日    

水への恐怖心を抱え、急浮上を2度繰り返す/危機からの脱出

読者の方から寄せられたさまざまなトラブル脱出体験談をPADIコースディレクターが分析・評価し、ご紹介。月刊DIVERで連載中の「危機からの脱出」のバックナンバーです。(DIVER 2018年8月号掲載)


ダイビング歴1年のTさん(20 本/女性)。憧れのダイバーになろうと受けたC カード講習で恐怖のあまり何度もパニックを起こし、危険な急浮上を繰り返した体験をご紹介します。

水への恐怖心を抱え、急浮上を2度繰り返す

私はもともと水への恐怖心があったのですが、ダイビングへの憧れが強く、友人に誘われたのをきっかけに、思い切って昨年の夏に沖縄でCカードを取得しました。これはその講習時に体験したトラブルです。
3日間のCカード講習を受けるため友人と沖縄を訪れた私は、到着してさっそく学科講習を済ませ、翌日はプール講習へ。水への恐怖心は抱えていましたが、お世話になったダイビングショップのインストラクターが優しく指導してくれたおかげで、プールでの練習はなんとかクリアできました。
翌日、海洋講習1日目をビーチで潜ると、思った以上の美しさに怖さも忘れるくらい。スキルも合格でき、「これなら私も大丈夫かも!」と楽しむことができました。そうして迎えた2日目は、船で沖合いのポイントへ行くことに。この日は研修生が1人、アシスタントでいっしょに潜ってくれます。さっそく1本目に港から10分ほどのポイントへ行き、準備をしてENしました。

初めて見る水深の深さに尻込み。水面から恐怖に襲われパニックに

潜降地点は水深7mほど。私は初日のビーチで水深10mまで潜ったのですが、いきなりの水底の深さに恐怖を感じてしまい、水面でパニックに陥ってしまいました。インストラクターと少し水面で休憩してから、ゆっくり潜降を開始してもまだ恐怖は拭えませんでしたが、なんとか水底に到着。そのまま誘導されながら泳ぎ始めました。しかし、私はやはり恐怖が大きくなるばかりで、水面に上がりたい気持ちでいっぱいに。そこでは冷静に考える余裕もなく、「早いうちに上がったほうがまし」と思ってしまった私は、潜降直後の水深8mからいちもくさんに浮上してしまいました。
水面に顔を出して、マスクとレギュレーターを外すと、すぐにインストラクターも浮上してきて、私を落ち着かせようとケアしてくれます。しばらく深呼吸をして水面で休みながら「やっぱり私には無理かも」と自信が失せそうでしたが、インストラクターの優しい声がけをもらって再チャレンジ。再度潜降して、海底で待っていた友人とアシスタントと合流しますが、私はその場で着底したまま少し気持ちを慣らします。なんとか行けそうと感じてOKサインを出した後、再度泳ぎ始めました。が、5分も泳がないうちにまた恐怖に襲われ、水深10m付近でふたたび水面に上がりたい衝動に駆られます。「やっぱり、怖い!」
そう思ったらもう自分を制御することもできず、またしても水面に向かって泳ぎ出してしまいました。今度はインストラクターが私を止めようと手をつかんできますが、それも振り払って浮上を続けます。水面に出て、再びインストラクターのそばで呼吸と気持ちを落ち着かせた後、「潜りたいんだけど、怖くて。でも怖くなったら自分ですぐ浮上するから大丈夫」と言うと、「急浮上は危険なので、水中で対処できるように練習しませんか?」と丁寧に指導してくれるインストラクター。私はもう一度トライしてみることにしました。

怖くなったらすぐ急浮上しよう。大きな要因となっていた危険な認識

そうして3度目の潜降をし、海底に到着すると友人たちは遠くで楽しんでいる様子。それを見たとたん、「私も行きたい!」と気持ちが奮い立ち、言われたとおりに深呼吸を続け、ゆっくり泳いでみます。インストラクターはそばで見守ってくれるなか、なるべく深い呼吸を意識しながら進んでいると、気づいたら友人の近くまで泳ぎ着けていました。もちろん、またいつ恐ろしい恐怖心が湧き出てくるか、不安は消えませんでしたが、呼吸に意識を集中していると、不思議と恐怖に襲われず、なんとか3本目の海洋実習を終えることができました。
EXして頭痛を感じた私はインストラクターにそれを伝え、4本目まで3時間ほど水面休息を取りました。そうして最後の4本目も呼吸に注意して潜ると、トラブルもなくスキルもクリアでき、Cカード認定をもらえました。以降も恐怖を感じることはありますが、今は深呼吸をして急浮上したい衝動を落ち着かせながら楽しめています。

急浮上は禁物。不安を感じたら落ち着いて深呼吸を

恐怖心から半ばパニック状態になり急浮上してしまった危機体験です。もともと水にあまり慣れていないなど、恐怖心を抱いているケースの場合、短期間のCカード講習では水中を楽しむ余裕はないのかもしれません。とにかく落ち着いてゆっくり呼吸すること、また水深のあるポイントではなく、浅いところからの潜降を繰り返し経験し、慣れることも大切です。恐怖を感じてしまったら、急浮上ではなく、一旦止まって深呼吸をすることを忘れないでください。

コメント=我妻 亨( PADIコースディレクター)

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カテゴリ: ダイビング


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