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  2018年11月22日    

凶暴ゴマモンガラにかまれて右足を負傷/危機からの脱出

読者の方から寄せられたさまざまなトラブル脱出体験談をPADIコースディレクターが分析・評価し、ご紹介。月刊DIVERで連載中の「危機からの脱出」のバックナンバーです。(DIVER 2018年7月号掲載)


ダイビング歴4年のWさん(90 本/女性)。うっかりゴマモンガラの縄張りに侵入したため、執拗な追い回しに遭い、フィンをかじられ右足までかみつかれた体験をご紹介します。

凶暴ゴマモンガラにかまれて右足を負傷

私は4年前に沖縄でCカードを取得し、以来年に4~ 5回、沖縄本島や離島に通いながらダイビングを楽しんでいます。これは2年前の6月に、友人と石垣島へ潜りに行った時の危機体験です。当時は経験本数50本を超え、水中コンデジカメラも購入したばかり。いっしょにCカードを取得した友人と2人で3泊4日、ダイビングは中2日間の予定でした。初日は何事もなく楽しんだ後、事件が起こったのは2日目の2本目。竹富島近くにあるボートポイントへ潜ることになり、ここではハナヒゲウツボが見られるとのこと。私も会いたい生き物の1つだったので、ワクワクが止まりません。この日のゲストは私たち2人きりだったので、和気あいあいとしたムードで準備を整え、さっそくENしました。

着底してハナヒゲウツボを観察中、殺気を感じ猛ダッシュで逃げ出す

天候、海況ともに良好で心地いい水中散歩へ出発し、しばらく泳ぐとガイドが海底を指さしました。その先には、ハナヒゲウツボの巣穴らしき穴がぽっかりと。姿はまだ見えなかったので、3人で着底して待機してみます。と、突然ガイドが私たちの腕をつかんでいちもくさんにその場を離れようとダッシュし始めました。「え、何が起こったの?もっとハナヒゲウツボを見ていたいのに!」私は訳もわからず引っ張られるまま巣穴から遠ざかります。少し泳いでガイドは私たちの腕を放したものの、後方を何度も確認して私たちを誘導しながら猛ダッシュを続けます。私は後ろに何かがいると殺気を感じて、泳ぎながらおそるおそる後ろを振り返ってみると、目の前に全身が顔のような魚、ゴマモンガラがものすごい勢いで私のほうに向かってきているではありませんか! 危険生物とうわさには聞いてはいましたが、その表情はまるで鬼の形相です。「ガイドが逃げようとしているのはコレだ!」と瞬時に理解しますが、私は最後尾を泳いでいて、気づいたときにはあと数メートルで追いつかれそうな距離でした。必死にダッシュを続け、右に左にと蛇行して注目を反らせようと試みますが、「ターゲットはお前!」といわんばかりに私のほうに突進してきました。どのくらい泳ぎ続けたか、ふとフィンをガシガシとかまれているように感じた私。「追いつかれた!」と思った次の瞬間、右ふくらはぎに激痛が走り、ガブリとかまれてしまったのです。「ギャー!」っとレギュレーター越しに叫びながら、振り払おうと右足を激しく揺さぶります。私は5mmのウエットスーツを着ていましたが、鋭い歯が貫通したようで、右足に痛みが走ります。あまりの恐怖にその場では暴れることしかできませんでしたが、ガイドが助けに来てくれたので、いっしょにダッシュで泳ぎ去りました。

噛み付く鋭い歯はスーツも貫通!パニックで新品カメラも紛失する

縄張り意識が強いゴマモンガラは、6 ~ 8月の繁殖期にはとりわけ凶暴化するそうで、うっかり彼らのテリトリーに入ると執拗に追いかけ回されるんだとか。この時はちょうど6月で、まさにその縄張りに足を踏み入れてしまったのでしょうか。その後、ある程度の距離を泳いだ後、ゴマモンガラはようやく引き返していきましたが、私はかまれた右足の痛みとパニックで放心状態。そのままガイドに手を引かれながら、なんとか無事にEXできたのでした。船上に上がってから、私は突然の出来事と襲われたショックで買ったばかりの水中カメラをどこかで落としてしまったことに気づきました。ダブルのショックで途方に暮れながら、ひとまずウエットスーツを脱いで右足を水で洗い、消毒をする応急処置を受けました。少し出血もありましたが、帰る頃には落ち着きました。それでも右ふくらはぎにはゴマモンガラの歯型がくっきりと、痛々しい傷痕になって残りました。聞くところによると、同様にゴマモンガラに襲われて、しつこく追いかけ回されたり、運悪く指をちぎられたり耳たぶをかまれたりした人までいるとか……。それからというもの、ダイビング中は頻繁に辺りを見渡して、ゴマモンガラの姿にビクビクしながら潜るばかりです。

ゴマモンガラに遭遇したら、まずは慌てずテリトリー外に避難を

ゴマモンガラは産卵・繁殖期に砂地に巣を作り、卵を守るのですが、テリトリー内に侵入したものに対して執拗に追いかけ、かみ付いたりする習性があります。一般的に追ってくるのはメスですが、サンゴ礁エリアにいる大型の魚なので、遠くからでも視認したら近寄らず、距離をとるのが鉄則です。基本的にはテリトリーの外まで追いかけてくることはないので、もし追いかけられたら暴れ回ったりせずに、速やかにテリトリーから離れましょう。

コメント=我妻 亨( PADIコースディレクター)

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カテゴリ: ダイビング


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