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  2018年10月25日    

Dr山見のダイバーズクリニックvol. 9 骨の病気・関節の痛み

今回のテーマは「骨と関節」。減圧症をはじめ、ダイビングに由来する不調が出てもおかしくない部位です。とくに中高年ダイバーは注意したいですね。


「五十肩」のときは無理しないで!

ーー「五十肩」で、ダイビングが辛いというダイバーを見受けます。

山見:五十肩は、肩関節の周りに炎症が見られる病気です。肩関節周囲炎とも呼ばれます。

̶ どんな症状が?

山見:肩関節が痛み、動きが悪くなります。ひどくなると組織が癒着し関節の動く範囲が狭くなります。

̶̶ ダイビングはできますか?

山見:症状が軽ければダイビングはできますが、器材を持ったり背負ったりして悪化することがあります。

̶̶ 無理は禁物ですね。

山見:肩の可動域が狭くなっている方は、BCを着るときに患側の腕を先に通し、脱ぐときは後から抜くといいでしょう。両肩とも調子が悪い方は、写真1のように肘を曲げて腕を出し入れすると痛みが少なくてすみます。

■写真1:BCの着脱(患側の腕をBCの袖に通したり抜いたりする場合)

中高年は骨粗鬆症と骨折にも注意!

ーダイビングをすると骨がもろくなる、という話を聞きますが。

山見:ダイビングは骨粗鬆症になりやすいという話ですね。一般に、ダイバーは骨量(ミネラル量)は少
ないことが知られています。とくに職業ダイバーや女性ダイバーで、その傾向が高いといわれています。

̶̶ 骨粗鬆症になりやすいのでしょうか?

山見:宇宙に滞在すると骨粗鬆症になりやすいことが知られていますが、ダイビング中も無重力に近いため、同じような生理現象が見られるのかもしれません。累計潜水時間が長いダイバーや閉経後の女性ダイバーは少し気にしておいたほうがいいかもしれません。

̶̶ 骨粗鬆症にかかるとどうなりますか?

山見:骨がもろくなり、骨折しやすくなります。

̶̶ ダイビング時でも注意が必要ですか?

山見:ダイビングではおもに3つの骨折が見られます。1つ目は、重い器材を担いだときに起こる椎体圧迫骨折(背骨が押し潰される骨折)、2つ目は転んだときに受傷する大腿骨頚部骨折(股関節に近い太ももの骨の骨折)、そして3つ目が転んで手を突いたときに見られる橈骨遠位端骨折(前腕にある2本の骨のうち、細いほうの骨が手首に近いところで折れる骨折)です。

̶̶ 骨折のあと、どのくらいたてばダイビングに復帰できますか?

山見:骨折では、特別な合併症がなければ、1か月程度でギブスが外れます。上肢の骨折では、ウエットスーツや器材の装着ができること、BC操作やレギュレーターリカバリーが支障なくできれば復帰可能です。下肢の骨折では、軽いジョギングができるくらいに回復すれば問題ないでしょう。

1回のダイビングでも「骨が腐る病気」になる!?

ーダイバーの中には骨が腐る病気にかかる人がいるそうですね。

山見:減圧性骨壊死といいます。気泡が骨の中(骨髄)や骨の栄養血管にできると血流が滞り、数週間かけて発症します。

̶̶ レジャーダイバーもかかるのでしょうか?

山見:以前は不適切な減圧を繰り返しているダイバーがかかる病気と思われていました。しかし最近は、1回のダイビングでも、骨内に気泡が生じれば発症することがわかっています。

̶̶ 何に気をつければいいのでしょうか?

山見:水深30m以深に減圧停止を必要とするダイビングをすると発症率が高くなります。

̶̶ どんな症状が見られますか?

山見:痛みがあり、関節の動きが悪くなることがあります。重症になると人工関節を入れる手術をしな
ければいけないこともあります。レントゲンに写らないことが多いのでMRIで診断します(写真2)。

■写真2:両側の大腿骨骨頭部に発生した減圧性骨壊死

関節痛は減圧症に多い症状の1つ

̶̶ 減圧症のときも、関節が痛むようですが、どのような関節痛が見られたら減圧症を疑うべきでしょう?

山見:関節痛は、手足のしびれと同じくらいよく見られる症状です。主に、肘、肩、膝などの関節に現れます。それぞれ30%、30%、20%程度を占めます。減圧症が疑わしい関節痛を表1に示しましたので参考にしてください。

̶̶ 減圧症かもしれない、と思ったらまずどうすればいいですか?

山見:高気圧酸素治療施設の予約をして、近くに酸素ボンベがあれば酸素を吸いましょう。

コラムニスト

山見 信夫(やまみ・のぶお)先生
医療法人信愛会山見医院副院長、医学博士。宮崎県日南市生まれ。杏林大学医学部卒業。宮崎医科大学附属病院小児科、東京医科歯科大学大学院健康教育学准教授(医学部附属病院高気圧治療部併任)等を経て現職。学生時代にダイビングを始めインストラクターの資格を持つ。レジャーダイバーの減圧症治療にも詳しい。

*サイト内では、メールによる健康相談も受けている(一部有料)

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ダイビングを楽しむ上で気になる身体の問題を潜水医学の専門家で、自らダイビングインストラクターでもある山見信夫先生 ...
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ダイビングを楽しむ上で気になる身体の問題を潜水医学の専門家で、自らダイビングインストラクターでもある山見信夫先生 に解説いただいている月刊DIVERの好評連載。読み損ねた方や...

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